HDDのないパソコン

 15日、日立からハードディスク(HD)なしのノートパソコンが発表された。全国紙には「盗まれてもデータは安全」などと、一人歩きし始めた個人情報保護法と絡めた論調が目立つ。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0502/15/news067.html

http://www.atmarkit.co.jp/news/200502/16/hitachi.html

 HDなしでも動くOSとしては、PDAなどに使われているWindows CEが有名だが、最近は、Windows XP Embeddedがお店のレジ(POS端末)などで使われており、今回のFLORA Se210もこれを採用している。

http://www.microsoft.com/japan/windows/embedded/xp/

 日立は、1月に本年度2000台、2005年度8000台のHDなしパソコンを自社に導入すると発表しており、社内サーバに個人のデータは蓄積されることになる。

 パソコンからHDが無くなるのは、省資源やサーバHDの有効利用の観点で歓迎である。office製品など、アプリケーションも社内サーバ上に一元管理された最新版が使える「ハズ」なので効果的だ。各自が使用するアプリケーションもサーバ上で動くことになる。そのライセンスは、利用クライアント数なのか、同時利用者数なのかは、個々のアプリで異なるが、契約の体系は整備されつつある。

 しかし、Windows XP EmbeddedはGUIを持っていないので、画面イメージをサーバで展開してパソコンに送信することになる。いくらネットワークが速くなっても、この仕組み自体に無理がある。

  

 社内サーバではなく、インターネットの先のHDにMy Documentsが存在するという、「Hailstorm(ヘイルストーム、開発名称)」を、マイクロソフト社が2001年3月のPDC(開発者会議)で発表し、翌年には、「.NET MyService(ドットネット・マイサービス)」という製品名までついた。しかし、ユーザの私的なドキュメントをマイクロソフト社が管理することへの反発から、計画が中止された経緯がある。

 Hailstormは、一瞬の雹の嵐として過ぎ去っていったが、今回の日立社内への導入は、社員のメールのログを含むすべてのドキュメントを会社の管理下に置くこととなり、論議を呼ぶものと思われる。