GIGAスクールとデジタル教科書

以下に移設しました。

https://docs.google.com/document/d/19fBPx0hppC-gkuXrs7KxI1NVqm7f-YcEK-Kna_m2upQ/edit?usp=sharing

 

https://bit.ly/4bwwzP3

 

以下は、少し古い版です。

 

 時系列での事象のみで、背景、経緯、課題、市場などは書いていません。間違いなどあればご一報下さい。リンク切れや、別窓が開く場合と、画面が切替わる場合があるのでご注意ください。

 私は、2010-11年、EPUB日本語拡張仕様策定の後、IDPFがIMS GLC(現1EdTech)と組み、2014年からEDUPUBを推進した時から、教育ICTに関係しています。

■ 教育ICT ■

 教育の情報化では、1982年設立のJAPET(現JAPET&CEC 日本教育情報化振興会)が文科省と連携し、初等中等教育でのパソコン教室、電子黒板設置などを推進してきた。
 教育ICT系の予算が本格的につき始めた2015年にDiTT(デジタル教科書教材協議会)と、文科省総務省が協力するICT CONNECT21(ICON)が設立され、官民一体で推進している。

●DiTT
 中村伊知哉氏が主導し、明治記念館での設立総会には、当時の原口総務大臣ソフトバンク孫社長マイクロソフト樋口社長も参加。現在は超教育協会として活動している。
 文科省総務省が、教育ICTと関連した様々な業界団体を束ね、教育ICTの推進母体として設立。現在は経産省とも連携している。2019年の「GIGAスクール構想」で脚光を浴び、2020年「GIGAスクール構想推進委員会」が設置され、活発な活動が行われている。また、初等中等にLMS(学習管理システム)が存在しないので2020年10月「学習eポータルSWG」が設置された。ポータルサイトGIGA Hub Webで情報発信。
 2019年12月に文科省が打ち出した「児童生徒(900万人)に1人1台のパソコンと高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備する」政策で、1/3は導入済みとの認識。COVID-19の影響で加速し、2021年3月には構想が実現した
 前倒しで総額5000億円近くを投入し、パソコン1台あたり4.5万円を3 OS(WindowsiOSChromeOS)PCの購入やインフラ整備を補助。PCやアプリ購入の追加コストは地方自治体が地方交付税などから負担。
 荒川区は2014年渋谷区は2017年(SIM)から1人1台を整備。
高校に1人1台
 2014年、佐賀県がいち早く県立高校(1学年7000人)への導入を決定。県が5万円補助、父兄が3万円を出して生徒所有(現在は貸与)のノートPCを整備。毎年、続いている。保健室と同様、パソコン支援室を整備。日本初は2011年の千葉県袖ケ浦高校( iPad 2BYOD)。
 広島県も2020年度から実施。私立の中学校、高等学校ではiPadの導入が多い。
教育プラットフォーム
 ポートフォリオアダプティブ学習アクティブ学習、コミュニケーション、アプリ管理、運用管理、SSOなど 業者によりサービスが異なる。
Classi(2014~ ベネッセ+ソフトバンク) 高校の半分が導入
まなびポケット(2018~ NTTコミュニケーション):学習2ポータル
Open Platform for Education(2020~ NEC):学習eポータル
L-Gate(2021~ 内田洋行);学習eポータル
Multiverse(みらeポータル、2022~ネットラーニング)

個人向けオンライン教育
・進研ゼミ(1955- ベネッセ) 添削通信教育、タブレットを早期に活用 243万人
スタディサプリ(2011- 受験サプリ、リクルート) 英語サプリも展開、スマホ活用 140万人
・スマイルゼミ(2012- ジャストシステム) 専用タブレット
※売上(億円):ベネッセ4,394、内田洋行1,643、学研1,405

●学習指導要領コード 文科省サイト
 クラウド上で教科書、教材、参考資料、映像、問題集などを連携させながら授業を行うので、「どの箇所」(例えば「電圧と電流」)を勉強しているか?が重要となる。ほぼ10年ごとに改訂している「学習指導要領」にIDをふる作業。

MEXCBT(メクビット) MEXT(文部科学省)+Computer Based Test
 文科省が推進する問題集データベース。QTI記述
 国のテスト問題に加え、都道府県のテスト問題を収集中(2022)
 処理系はオープンソースのTAO QTI2.1/2.2 QTI3(縦書き、ルビ)未対応

学習eポータル (ebookpedia:学習eポータル)
 文科省が推進するLMS(Learning Management System)の枠組み
 内田洋行L-gateNTTコムまなびポケットNECOPEStudyPlus

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IMSjapan 常盤先生

 

仕様の標準化

 デジタルで重要なのは標準IDや相互運用性の確保だが、その分野でも日本は欧米に10年遅れている。学習指導要領へのID付与は2020年に開始予定だが、LMSをどうする、個人認証とメールアカウント(小中高大で4個以上)の連携、各種アプリ間のライセンス認証など課題が多い。

 米国では2009年、初等中等向けにCommon Core(ID付きの全州共通教育課程)が開始され、大学教育では2010年設立のIMS GLCアプリ間連携(LTI)、問題交換形式(QTI)、学習履歴交換(Caliper)、校務教務連携(OneRoster)、デジタル認証(Open Badge)などの標準化を行っており、2016年には日本IMS協会が設立された。
 教育におけるデータ活用は更に重要で、文科省の掲げる「公正に個別最適化された学び」には欠かせない。個々の学習者に適したデジタル学習環境の提供が望まれる。標準規格に基づいてコンテンツやツールをモジュール化し、その学習者に合った環境を レゴのように組み立てる ” 新しい時代のデジタル学習環境 (NGDLE : New Generation Digital Learning Environment) の実現が求められる。

 

●Next GIGA【2024/01追記】

1人1台端末のさらなる利活用促進と自治体間の利活用格差解消、および端末リプレイスに備えた適切な支援策構築を目的とし、R5補正予算に2643億円が計上されている。

端末の購入は1700市町村ではなく、47都道府県で取りまとめ。

R5補正予算

■ デジタル教科書 ■

 教科書のデジタル化は2013年に東京書籍アクセス社と組みEPUBベースで開発を開始。同じ頃、教科書出版社13社が日立(ソリューションズ)と連携しCoNETSという団体を設立し推進した。
 教師用の「指導者用デジタル教科書」は教材扱いとして既に約60%の学校に導入されているが、生徒用の「学習者用デジタル教科書」は今までほとんど導入されてなかった。しかし2019年度から紙の教科書に準じる「教科書」の扱いとなり、さらに2020年度は紙の教科書と同等の位置づけとするための検討が進められており、次の指導要領改訂期である 2024年度からの本格的な普及を目指している。
 義務教育の教科書は文科省が毎年450億円で買い上げており、2021年度の文科省概算要求ではデジタル教科書整備で50億円が計上され20億程度実施予定。

Lentrance 
 東京書籍がアクセス社からスピンアウトしたメンバーと2018年に設立した会社で、現在13の教科書、教材出版社と連携している。

CoNETS 理念 機能 2013-2018
 国語の光村図書、数学の啓林館、歴史の山川出版社、体育の大修館書店、地図の帝国書院など各教科のトップ出版社が、日立と提携し設立。デジタル教科書の標準プラットフォームを標榜したが2018年頃から継続が困難になった。

 現在は以下のグループとなっている。
まなビューア―(光村図書):開隆堂教育芸術社など
超教科書(BPS):啓林館帝国書院大修館書店など
みらいスクール(富士ソフト):教育出版学校図書大日本図書山川出版第一学習社日本文教出版など
ことまな三省堂
Libry:教科書、教材配信プラットフォーム
BookRoll:デジタル教材配信システム 京都大学 緒方研究室

こども未来教育協議会 2023-

 凸版印刷が主導し、子会社の東京書籍(Lentrance)のBPS(超教科書)が合流
 教科書配信プラットフォーム「EduHub」を推進、共通書棚

仕様の標準化

 日本の教科書はInDesignを使い倒したような美しい見開きレイアウトとなっており、これをそのままEPUB化するのは困難で、各ビュアーが独自の拡張を行っている。アプリ型とJavaScript(JS)型があり、教科書は学校単位の採用なので、ブラウザがあれば表示可能なJS型が主流となりつつある。

 しかし、データ形式の標準化は難しく「紙の教科書のレイアウトをWebで表現できる程度に単純化」する努力が必要と思われる。また、ユーザインタフェースの統一も急務である。

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■ 児童向け電子図書館
インフラとPC、そして教科書がデジタルで整備されれば、次は図書館の電子化となる。大学電子図書館はCOVID-19で前年同月比5倍のアクセス数を記録し、初等中等向け電子図書館も機運が高まっているが、未開拓に近い市場でもある。
まなびライブラリー(ベネッセ)
School e-Library(教科書販社など)
電子書籍読み放題サービスYomokka!(ポプラ社)
ジャパンナレッジSchool 中学/高校(小学館NetAdvance)
日本電子出版協会の提言 学校図書館5万冊読み放題
Open eBooks 2016年オバマ政権 学生向け無料図書館

仕様の標準化

 電子書籍クラウド上に置きオンデマンドでの配信が主流となっている。この方式だとユーザの手元にEPUB、PDFなどのファイルは保持されないので、著作権も守られる。

 データ形式アクセシビリティが高いテキスト系のEPUB、または制作が容易な画像PDF(しおり付き)の何れかで、日本語は世界的にみて特殊なので、画像PDFも多い。

■ 付録:政府の教育ICT関連予算、動向 ■

中央教育審議会 文部科学大臣の諮問機関

JAPET 国の動向 H22(2010)年度- 【リンク切れ】

・H21(2008)年度 教育の情報化に関する手引き

・H25(2013)年度 ICTを活用した課題解決型教育の推進事業

・H26(2014)年度 学校の情報化EDUPUB

・H27(2015)年度 教育の情報化(文科省)(総務省)クラウド導入ガイド

H28(2016)年度 デジタル教科書の位置付け(文科省)

H29(2017)年度 文科省予算案ICT環境整備

H30(2018)年度 文科省予算案5か年計画(-2022)

H31(2019)年度 文科省予算案白書:ICT活用の推進

・R2(2020)年度 補正予算GIGA補正予算データ標準在宅学習とGIGA【リンク切れ】教育データの利活用緊急説明会(Youtube) 学習指導要領コード

・R3(2021)年度 R3文科省予算(p7-12)、R2第3次補正予算(p9-13) 、堀田龍也先生講演MEXCBT説明会教育データ利活用ロードマップ

・R4(2022)年度 R4文科省予算(  p13-16) 補正予算(p56-57) デジタル庁 教育データ連携

・R5(2023)年度 R5文科省予算(p9-14) 補正予算((p53-59)

・R6(2024)年度 R6文科省予算(p11-16)