落語で学ぶ数学 =三方一両損=

 立ち読みした本の話で恐縮だが、晴海トリトンスクエアの「書原」で幻冬舎新書「落語で学ぶ数学」を知った。新書が大流行で、幻冬舎アスキーソフトバンク宝島社など新興出版社が続々参入している。

http://www.gentosha.co.jp/pickup/shinsho.php

http://shinsho.ascii.co.jp/

http://www.sbcr.jp/books/products/cat_index.asp?cid=310

http://tkj.jp/category/category_004_00001.html

時そばの客は理系だった―落語で学ぶ数学 (幻冬舎新書)

時そばの客は理系だった―落語で学ぶ数学 (幻冬舎新書)

 「落語で学ぶ数学」には、以下の数字に関係した落語の根多が紹介されている。

・親子酒―誰が本当のことを知っているのか

・一目上がり―数の並びで未来を予測

・千早振る―一つの式でも二つの答え、困ります

・提灯屋―誰でも認める綺麗な形

・お神酒徳利―余計な塾よりそろばんが

・こんにゃく問答―当たり前のことがくずれると

・死神―平均寿命のトリック

・宿屋の富―賭けは得か

井戸の茶碗―仕事が仕事を呼ぶ訳は

粗忽長屋―考えない論理

・狸の賽―賭けを支配するもの

・日和違い―少しの違いが大きな違いに、微積の穴

・かぼちゃや―商売に使える計算

・しの字嫌い―縁起の良い数字、悪い数字

・つぼ算―数のトリック、商売のトリック、騙しのテクニック

・花見酒―儲けたような気分だけ

・質屋庫―ちりも積もれば、は本当か

・平林―構造と分類と

時そば―長さが違う時間の測り方

皿屋敷―空を見ていてわかること

・死ぬなら今―仏教の中の数字

・七五三―数珠の珠の数の秘密

寿限無―とても大きな数の単位

・茶金―倍倍ゲームの落とし穴

・天災―勉強で大事なことは

・松竹梅―努力をすれば一人前

 時そばは有名だが、なぜかいちばん数学的な「三方一両損」が入っていない。良い視点の新書なのに残念。「三方一両損」は大岡越前守のお裁き物で、左官と大工と越前守の3人が登場人物。

 左官が3両が入った財布を拾い、落とし主の大工に返そうとするが、落とした金はもう自分の金ではないということで大工は受け取ろうとしない。左官も金が欲しくて拾ったわけではないと怒る。大岡越前守に裁定してもらうが、越前守が1両を加え、2両を両名に渡す。皆、1両損して丸く納めるという、江戸っ子らしい噺。