TimeWarnerのiPublish

 iPublish.comは2001年1月に設立され、12月に消滅したインターネット上の出版社である。タイム・ワーナー(Time Warner)の出版部門が鳴り物入りで発表し、出版社の持つ「企画、編集、制作、販売」などの機能を、すべてWeb上で実現する計画だった。当時、アマゾンやバーンズ・アンド・ノーブルのようなオンライン書店が急速に伸びていたので、オンライン出版社にも注目が集まった。

 このような斬新な事業は5年くらいの長期的な投資が必要なのだが、気が短い米国のベンチャー・キャピタルや親会社の意向で、11ヶ月の短い命となった。

 以下のような機能を持っていた。

-iWrite:著者向け。投稿やフィクション、ノンフィクション、ビジネス、ミステリー、ロマンスなどの分野別の編集者との対話

-iRead:読者向けの電子書籍販売。読書ソフトはマイクロソフト・リーダーを使用。

-iLearn:プロの著者になるための教育。セミナーやイベント、自習コーナーなど。

 今思えば、早すぎで斬新過ぎた会社だったが、インターネットの時代に、出版社は何ができるのかを考えさせられた。ブランド、企画、編集、宣伝、販売などの出版社の機能のうち、企画力と編集力が、重要な要素だと思う。

 iPublishとは異なるアプローチだが、昨日ご紹介したイーブック・ジャパンが世界初のデジタル出版社として、成功しつつある。