ドヴォルザークのレクイエム

 昨晩、東京芸大の新奏楽堂に、ドヴォルザークのレクイエムを聴きに行った。金曜日の夜は開放感がありコンサートに行きたくなる。

 いったん自宅に戻り、妻もめずらしく「行く」というので、タクシーで10分の芸大へ。芸大は道の両側に美術学部と音楽学部が並んでおり、それぞれの目玉が美術館と奏楽堂である。独立行政法人をにらんでの投資だが、よくもこんなに立派な奏楽堂を建てたものだ。パイプオルガンも、池袋の東京芸術劇場と同クラスの巨大さで驚いた。

 10数年前のドイツ統一で、東ドイツの経済は西ドイツに飲み込まれたが、唯一、ドレスデン近郊のマイセンだけは、彼らの芸術作品である陶器が、より大きな世界に羽ばたいた。これから国立大学が凋落する中、芸大だけは財政的に恵まれると思う。

http://www.geidai.ac.jp/

 ドヴォルザークのレクイエムは初めてなので、予習した。今も、そのサヴァリッシュ指揮、チェコ・フィルの1984年プラハ「芸術家の家」録音版を聞きながら、これを書いている。18日の宴会でご一緒したIIZUKA Tさんが「ドヴォルザーク生誕100年。ということは我々の祖父母は、同時代に生きていた」と話されていたが、クラシック音楽もさほどクラシックではない気がする。

 レクイエムはベルディ版が有名で2003年5月にチューリッヒ歌劇場のネルロ・サンティN響で聴いたが、2002年12月デュトワベルリオーズ版も気に入った。しかしN響は三階席で、四方に配される金管楽器の音の中に入れなかったので、2003年11月わざわざゲルギレフ+読響をサントリーホールに聴きに行った。19台のティンパニーも壮観であった。

 「レクイエム」(ラテン語で安息)はWikiPediaに詳しく解説されているので、そちらを参照していただきたい。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%A0

 それにしても、WikiPediaはたいしたものである。必要不可欠な情報が簡潔にまとまっている。私は仕事柄、GroveMusic日本語版を読めるのだが、こちらは研究者向きの、もっと深い記述となっている。

http://www.grovemusic.jp

 演奏会は1140席の80%の入り。学生による合唱と演奏なので1800円と超低料金。シュナイトさんというドイツ人の70歳代の先生の指揮で、アルトに男性がいたので驚いた。彼も「もののけ姫」の主題歌を歌った米良美一や急伸している岡本知高のように有名になるのだろうか。

 怒涛のような合唱、一糸乱れぬオーケストレーションとまでは行かなかったが、とてもコストパフォーマンスの良いコンサートであった。室内楽、オペラ、邦楽などいろいろやっているので、JR上野駅から徒歩10分とちょっと遠いが、足を運んでみていただきたい。コンサート情報は芸大のトップページに載っている。

 今回のような大規模な演奏会は、2005年3月27日(日)にバッハ:マタイ受難曲をやるようだ。