サヴァリッシュ渾身の7番

 N響(NHK交響楽団)のAチクルス2日目に行っているが、今年度、金曜日の夜から日曜日の昼に変更になり、休日に、わざわざ混雑する渋谷まで行く羽目になった。

 今日はN響桂冠名誉指揮者ウォルフガング・サヴァリッシュ。数ヶ月前まで曲目が決まらず、指揮台に椅子を置き、腰掛けての指揮だったので、3曲目のベートーヴェンまでたどり着けるか心配になった。

http://www.nhkso.or.jp/schedule/2004_11.shtml

 2曲目のブリテンのヴァイオリン協奏曲ははじめて聴いたが、スペイン風のメロディーもあり聞きやすい。ツィンマーマンのヴァイオリンも冴えていた。

 いつも、前半はウトウトしながら聴いているが、コンサートに行くと浮世の垢が落ちていく感触があり、心地よい。今回も仕事の疲れがスーッと引いていった。

 休憩の後、7番が始まったが、ノッケから圧倒された。指揮棒の最初の一振りに合わせて、N響のメンバー全員が息を大きく吸う音が聞こえ、一瞬の沈黙の後、一気に音が鳴り出した。サヴァリッシュは時には声を上げ、時には椅子から立ち上がり熱演した。

 7番を好きになったのは、カール・ベームウィーンフィルの演奏のテレビだった。4楽章のホルンが気に入った。Webに詳細な記録が載っていたが、1975年の来日公演だと思う。

http://www003.upp.so-net.ne.jp/orch/page034.html

 1980年の来日では、椅子は使わなかったものの、猫背に落ちそうな眼鏡、そして指揮棒の先がちょっと動く程度だったが、オケは響いていた。

 その時カール・ベーム83歳、サヴァリッシュさんより2歳年上であった。

 演奏が終わり、ブラボーの歓声と大きな拍手が沸いたが、私はこの演奏会が「白鳥の歌」になりそうな気がして、大きくため息をつき、ずいぶん遅れて拍手の輪に加わった。

  

【2005.03.27追記】

 NHK教育の「N響アワー」で、2004年度のベストコンサートが発表され、このサヴァリッシュの7番が会員投票で1位に輝いた。