500円玉を握りしめて、幾代餅

 上野鈴本、早朝寄席は三遊亭金兵衛「千早振る」、林家ぼたん「近日息子」、三遊亭天どん「花見小僧」、金原亭馬治「幾代餅」。

 女性落語家のぼたんが、500円玉のおつりが不足して、ご迷惑をおかけしました。定連さんは「500円玉を握りしめて来てくださる」と言っていたが、まさに、500円玉を握って受付の天どんさんに渡した。二ツ目が自主運営しているので、受付も出演する落語家である。

 先週は、万札しかなかったので、鈴本の3軒先のコンビニで「おーぃお茶」を買い、500円玉をしっかり、あし歌さん渡した。子供のころ、10円玉を握りしめて、紙芝居を観に行ったのと同じ感覚である。

  

 鈴本の席には、小さなテーブルが付いており、それを使って、隣の人は朝から、さきイカをつまみにコップ酒を飲んでいる。落語ブームは続いており、先週は134名とのこと。今日も100名は越えていた。

 「千早振る」も「幾代餅」も好きな根多で、特に「幾代餅」は気に入っている。「ローマの休日」ではないが、位の高い花魁(おいらん)「幾代太夫」に、町人が恋をして、見事に射止め、その上、夫婦で始めた餅屋が繁盛するという、春らしい、さわやかな噺である。外に出たら、上野広小路春一番が吹き抜けていた。